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C2PA — COMPLETE GUIDE

C2PAとは?
仕組み・活用例・導入方法を
C2PA専門企業が解説。

C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)は、画像・動画・音声などのデジタルメディアに「誰が、いつ、どのように制作・編集したか」という来歴情報を改ざん検知可能な形式で埋め込む国際標準規格です。Adobe、Microsoft、BBCなどが主導して策定し、生成AI時代におけるコンテンツ真正性の社会インフラとして世界中で採用が進んでいます。

DEFINITION

組織概要と基本情報

C2PA

日本語訳
コンテンツの来歴と真正性に関する連合
設立
2021 年 2 月
創設メンバー
Adobe / Microsoft / Intel / BBC / Arm / Truepic など
現メンバー
Google / OpenAI / Sony / Leica / NYT / Meta / NHK ほか多数
SUMMARY

3 つの重要ポイント

  1. 01

    コンテンツの「出所と履歴」を暗号署名で埋め込む国際標準

    画像・動画・音声ファイルそのものに、制作者、編集履歴、電子署名を含む「Manifest」を埋め込み、改ざんを確実に検知できるようにします。

  2. 02

    「偽物を後から見抜く」のではなく「本物にあらかじめ印をつける」

    後から偽物を判別しようとするのではなく、制作・撮影の時点で本物に電子署名を付与し、受け手がそれを検証するアプローチです。

  3. 03

    利用を強制しない、オープンな参加型エコシステム

    特定のプラットフォームに依存せず、誰もが自発的に署名・検証できるオプトイン方式を採用。本物であることを示したい発信者から無理なく導入を広げられる設計です。

01 ─ WHY C2PA

なぜ C2PA が必要とされるのか

C2PAは、意図的な偽情報(ディスインフォメーション)やコンテンツ改ざんに対処するための国際標準規格として2021年に発足しました。設立当初の問題意識は、その後の生成AIの急速な発展と普及によって、より切迫した社会課題となっています。

C2PA はどのように生まれたか

C2PAは2021年2月22日、公式の発足プレスリリースとともに設立されました。創設メンバーであるAdobe、Arm、BBC、Intel、Microsoft、Truepicの6社を中心に、Linux Foundation傘下のJoint Development Foundationにおけるプロジェクトとして組織されています。

この発足は、それ以前から並行して進められていた2つの先行イニシアティブを統合したものでした。Adobeが主導していたContent Authenticity Initiative(CAI)と、MicrosoftおよびBBCが主導していたProject Originです。個別の取り組みで蓄積された知見と技術仕様を中立的な標準化団体へと集約し、業界横断でオープンに推進できる体制を整えたのがC2PAの原点です。

発足時のプレスリリースでは、C2PAが向き合うべき社会的課題とミッションについて次のように明言されています。

“…address the prevalence of disinformation, misinformation and online content fraud … an open technical standard providing publishers, creators, and consumers the ability to trace the origin of different types of media.” — C2PA Founding Press Release (2021-02-22)

このようにC2PAの発足契機は、生成AIの台頭以前から深刻化していた「偽情報・誤情報の拡散」「オンラインコンテンツの不正な改ざんや偽装」という、デジタルメディア全体の信頼性低下に対する強い危機感にありました。単一プラットフォームの独自技術に依存するのではなく、誰もが公平に採用できるオープンな共通技術標準を構築することこそが、C2PAの基本方針です。

生成 AI がもたらした信頼の危機

2022年以降、画像・動画・音声を生成するAIモデルが飛躍的に進化したことで、人間が制作したものと見分けがつかない高品質なコンテンツを、誰もが安価かつ瞬時に量産できるようになりました。その利便性の裏で、以下のような深刻な課題が社会全体へ急速に拡大しています。

  • 経営幹部や政治家のディープフェイク動画・音声によるなりすまし詐欺や世論誘導
  • 偽造メディアを悪用した情報工作や認知戦(選挙への不当介入、プロパガンダ)
  • 報道写真や公式発表資料の改ざん・捏造によるメディアおよび企業の信頼性失墜
  • 権利者や制作元の特定が困難になることによる、著作権侵害の立証不能リスク

こうした問題の根本にあるのは、「このコンテンツはどこで生まれ、誰がどのように編集・加工してきたのか」という出所と編集履歴(来歴)を客観的に検証する技術手段が欠落していた点にあります。問われているのは「コンテンツの内容自体が真実か」という主観的な判定ではなく、「出所を正しく辿れるか」「途中で改ざんされていないか」という検証可能性の担保です。C2PAの最新仕様解説(Explainer)でも、このスコープが明確に定義されています。

“In an era where digital media (e.g., images, videos, audio and documents) is easily created and manipulated, whether by humans or generative AI, it is important for users to be able to verify the authenticity and provenance of such media … to prevent them from being misled or harmed.” — C2PA Explainer v2.4, §1 Introduction

ディープフェイク検知の限界

偽造メディアへの対策として、当初は「AIで生成された痕跡を別のAIで検知・識別する」アプローチが主流でした。しかし、米国NSAおよび英連邦3カ国(ASD's ACSC、CCCS、NCSC-UK)が2025年1月に共同発表したCSIガイダンスでも指摘されている通り、検知アプローチは構造的な「いたちごっこ」から抜け出せません。生成AIの性能が向上するたびに検知精度は低下し、検知モデルをアップデートしても、さらに進化した生成技術によって上書きされてしまうためです。

「来歴証明」という別アプローチ

そこでC2PAが採用したのが、偽物を後から見破ろうとするのではなく、本物に「真正性の証拠」をあらかじめ付与するアプローチです。撮影・生成・編集といった制作の各段階で、コンテンツ本体と来歴情報(制作者、使用機材やツール、編集操作)をデジタル署名で強固に紐付け、以降の改ざんを確実に検知できるようにします。この設計思想は、C2PAの技術仕様書の序文(Introduction)および基本方針(Guiding Principles)に明記されています。

観点検知アプローチ来歴証明(C2PA)
着眼点「これは偽物か?」「誰が・どのように制作したか?」
主な手法AIによる痕跡分析(推論)暗号署名とメタデータのセキュアな埋め込み
限界生成技術の進化に伴い精度が低下署名が付与されていないコンテンツには適用不可
強み既存の流通コンテンツにも事後適用できる暗号技術に基づき改ざんの有無を確実に検証可能

C2PAは「インターネット上のあらゆる偽物を見破る」ことを目的とした技術ではありません。真正なコンテンツに客観的な裏付けを与え、信頼できるエコシステムを可視化・確立するための基盤です。

この位置づけは、C2PA自身も公式文書で繰り返し明文化しています。2025年9月にC2PA技術作業部会が公開したホワイトペーパー「Content Credentials Explained」では、次のように述べられています。

“It is not a cure-all for misinformation, but instead seeks to mitigate against its threats in the digital domain. It complements media literacy, fact-checking, and digital forensics approaches such as deep-fake detection by providing an infrastructure to record all of that information in a tamper-evident structure, representing the provenance of any asset.” — C2PA Content Credentials Explained (Sep 2025), §1.1 Overview

C2PAが提供しているのは誤情報対策の万能薬ではなく、メディアリテラシー教育、ファクトチェック、デジタルフォレンジクス(AI検知)といった既存の取り組みを土台から支え、補完するための共通インフラである、と公式に位置づけられている点は極めて重要です。

C2PA が想定する 4 種類のユーザー

C2PA仕様は、コンテンツの流通に関わる次の4つの立場(アクター)が相互に連携して利用することを前提に設計されています(公式仕様書「Expected Users」より)。

01
CREATORS

クリエイター

自ら制作・撮影したコンテンツについて、「誰が・いつ・どう作ったか」を改ざん不能な形で証明したい側。プロのクリエイター、報道記者、通信社、人権活動家から個人発信者まで該当します。

02
PUBLISHERS

配信・パブリッシャー

流通させるコンテンツの真正性や出所を確認し、掲載・配信の判断材料としたい側。報道機関、出版事業者、SNSプラットフォーム、CDNなどが含まれます。

03
CONSUMERS

受け手・エンドユーザー

目にしたコンテンツがどのような経緯で制作されたのかを確認・理解したい側。一般の読者・ユーザーに加え、司法機関やファクトチェック機関なども含まれます。

04
VENDORS

ツール開発者・ベンダー

C2PAの来歴データを生成・保持・転送・表示するソフトウェアやハードウェアを開発し、システム間の相互運用性を担保する側。

02 ─ BASICS

C2PA の定義と基礎知識

C2PAを正しく把握するには、関連用語として頻繁に登場する「CAI」や「Content Credentials」との役割分担を整理しておくことが不可欠です。

「C2PA / CAI / Content Credentials」それぞれの違いとは

標準化団体

C2PA

コンテンツの来歴と真正性を担保するためのオープンな技術仕様を策定する、国際的な標準化団体(およびその仕様規格そのもの)。Linux Foundation傘下のプロジェクトとして中立的に運営されています。

C2PA 公式サイト →
普及活動

CAI

C2PA仕様の実装支援や社会的認知の拡大を推進する、Adobe主導の啓蒙・コミュニティ組織。オープンソースツールの開発やパートナーシップの構築を担っています。

CAI 公式サイト →
メタデータ規格

Content Credentials

C2PA仕様に基づいてコンテンツへ実際に付与される標準メタデータ(およびその検証機能)。作成者、編集履歴、AI生成の有無などを可視化する「デジタルの成分表示表」として機能し、対応プラットフォームでは「CR」アイコンから詳細を確認できます。

Adobe の説明ページ →

主要な参加企業・組織

2026 年時点で 約 380 の企業・団体が C2PA に参加しています(Steering Committee / General Member / Contributor Member の 3 層構成)。

Steering Committee約 10 社
Adobe・Microsoft・Google・Meta・OpenAI・Amazon・Sony・BBC・Truepic
General Member約 40 社
ニコン・キヤノン・富士フイルム・NHK・サイバートラスト ほか
Contributor Member約 330 社
Intel・The New York Times・AFP・GlobalSign・合同会社テックサンクス ほか

Sony、NHK、ニコン、キヤノン、富士フイルム、サイバートラストなど、国内の大手メーカーやメディア、セキュリティ企業も多数加盟しています。

03 ─ HOW IT WORKS

C2PA の仕組み(図解)

詳細な実装仕様は技術ブログに委ね、このページでは「どのような流れでコンテンツの真正性が担保されるのか」という全体像を図解で整理します。

STEP 01

作成・生成

対応カメラでの撮影、生成AIによる出力、編集ツールでの加工時に、「誰が、いつ、どのように制作したか」のメタデータを記録します。

STEP 02

署名の付与

記録された来歴情報とコンテンツ本体をデジタル署名で結び付け、ファイル内部に「Manifest」として安全に埋め込みます。

STEP 03

流通・共有

通常ファイルと同様にWebやSNS、ストレージ等で配信・共有されます。ユーザーはこれまで通りシームレスに扱えます。

STEP 04

検証・確認

受け取った側やプラットフォームが署名を照合。コンテンツの出所や、途中で改ざんが加えられていないかを確実に確認できます。

ファイル内部に格納される「Manifest」の基本構造

専門用語を細かく暗記する必要はありません。基本となるのは、ファイル内部にManifest(マニフェスト)と呼ばれる来歴パッケージが組み込まれ、その中に制作者や編集履歴といった記録と、それらを暗号学的に保証するデジタル署名が一体となって保持されている、という仕組みです。

Manifest
ファイル内に保持される「来歴データパッケージ」全体。個々の記録(Assertion)とそれらを束ねる署名情報(Claim)で構成されます。
Assertion(来歴を構成する個々の事実データ)
  • 2026-04-21 に Leica M11-P で撮影
  • Photoshop による画像トリミング
  • Adobe Firefly によって生成
Claim + 暗号署名
各Assertionのハッシュ値を束ねて管理し、信頼された認証局の証明書を用いて全体にデジタル署名を付与

署名されたManifestは、コンテンツ本体やメタデータが1ビットでも改ざんされると検証時にエラーとなります。これにより、「誰が制作したか」の証明と「途中で改変されていないか」の改ざん検知が同時に成立します。

04 ─ USE CASES

C2PA の活用例・導入企業

C2PAの実装は、世界中の産業分野で急速に進展しています。主要な業界ごとの活用領域と、すでに導入・検証を開始している代表的な組織・企業の動向をご紹介します。

報道現場でインタビューする記者と取材カメラ
FIG. 01報道の現場 ─ 取材から配信まで
NEWSROOM

報道メディア・放送局

撮影現場からニュース配信に至る全工程で来歴を保持し、報道写真や映像の真正性を技術的に担保。国内外の大手報道機関や研究機関で実運用や検証が加速しています。

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  • BBC News Labs ─ BBC Verify で Content Credentials の限定トライアル
  • The New York Times R&D ─ 報道画像の来歴プロトタイプを構築
  • AFP ─ CAI に加盟、Nikon プロトタイプ機での C2PA 署名検証
  • Reuters × Starling Lab ─ 「78 Days」プロジェクトで C2PA マニフェスト付き報道写真を検証
  • NHK 放送技術研究所 ─ 2023 年に C2PA 加盟、来歴情報付き動画プレーヤーを技研公開で展示
生成 AI ツールで画像を出力する作業風景
FIG. 02生成 AI ─ 由来を自動で刻む
GENERATIVE AI

生成 AI サービス

出力された画像や動画に「AIによって生成・編集された事実」を自動で記録し、プラットフォーム上で透明性ラベルを表示。主要なAIベンダー各社が標準機能として採用しています。

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  • OpenAI ─ ChatGPT・API 経由の DALL·E 3 生成画像に C2PA メタデータを自動付与
  • Adobe Firefly ─ 生成画像に自動で Content Credentials を付与
  • Microsoft Copilot / Designer ─ AI 生成・編集画像に C2PA ベースの来歴を付与
  • Google ─ C2PA Steering Committee に参画、SynthID と C2PA を併用
報道現場で構えられるレンジファインダー型カメラ
FIG. 03撮影機材 ─ シャッター時点で署名
CAMERA

カメラメーカー

シャッターを切った瞬間にカメラのハードウェア内部で暗号署名を生成し、撮影時点の完全な真正性を保証。報道向けフラッグシップ機を中心に搭載が広がっています。

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カフェでスマートフォンのSNSフィードを見る手元
FIG. 04SNS ─ タイムライン上の AI 由来ラベル
SOCIAL

SNS・プラットフォーム

タイムライン上で流通するコンテンツのC2PAデータを読み取り、AI生成マークや出所情報を自動表示することで、ユーザーが安心して情報を受け取れる環境を整備しています。

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  • Meta(Facebook / Instagram / Threads) ─ C2PA メタデータを検出して AI 生成画像にラベル表示
  • TikTok ─ 2024 年 5 月、動画共有プラットフォームとして初めて Content Credentials を実装
  • LinkedIn ─ 投稿画像・動画に C2PA が付いていれば「CR」バッジで来歴を表示
スマートフォンで車両の損傷を撮影する保険調査員
FIG. 05認証 ─ 写真が「本物」である証拠
AUTHENTICATION

保証・認証サービス

損害保険の査定、eKYC(オンライン本人確認)、遠隔現況調査など、提出写真の改ざん不能性が業務の根幹に関わる領域での実用化が進んでいます。

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壁面に設置された監視カメラのクローズアップ
FIG. 06監視映像 ─ 改ざん検知で証拠能力を担保
IoT / SECURITY

IoT・セキュリティカメラ

監視カメラや産業用IoTデバイス自体が映像にC2PA署名を付与することで、AIによる映像捏造を排除し、司法や監査に耐えうる証拠能力を担保します。

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  • Ring Verify ─ Amazon Ring のセキュリティカメラが映像に C2PA 署名を付与、AI 生成フェイクを検知して証拠能力を担保
政府系プレスブリーフィング会場の様子
FIG. 07政府広報 ─ 発表資料の真正性
GOVERNMENT

政府・公共セクター

国家レベルでの偽情報工作対策や選挙の公正性確保を目的として、公的機関の発表資料への署名義務化やガイドライン策定が国際的に進展しています。

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防衛・情報系オペレーションセンターの俯瞰
FIG. 08認知戦 ─ 公開素材の来歴担保
DEFENSE

防衛・安全保障

紛争地域における記録保全や、敵対勢力による認知戦・情報工作への防護策として、現地映像の収集から国際機関への証拠提出に至るまで来歴技術が採用されています。

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デジタルペンタブレットで作業するイラストレーター
FIG. 09クリエイター ─ 作品の帰属を守る
CREATOR

クリエイター・ストック素材

「人間による創作物」と「AI生成コンテンツ」を明確に区分し、クリエイターの正当な権利帰属と対価の保護を実現するインフラとして活用されています。

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ビジネス街の高層ビル群を下から見上げた構図
FIG. 10ブランド ─ なりすましを技術で防ぐ
ENTERPRISE

企業ブランドの保護

広報資料や経営トップの公式メッセージ動画に署名を付与することで、役員ディープフェイクや投資詐欺広告による企業信託の毀損を未然に防ぎます。

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05 ─ HOW TO ADOPT

C2PA 導入の進め方

STEP 01

要件定義・スコープ策定

対象コンテンツの種類、記録すべき来歴項目、検証側のユーザー体験を整理。法務やコンプライアンス要件も明確化します。

STEP 02

PoC(小規模検証)

対象を1つのワークフローに絞り、公式OSSツールを用いてテスト署名から検証までの一連の動作を素早く検証します。

STEP 03

パイプライン統合・自動化

既存のCMSや生成AIパイプライン、撮影・編集ツールへSDKを組み込み、コンテンツ出力時に自動署名される状態を構築します。

STEP 04

本番用証明書・鍵管理の確立

信頼された認証局(CA)からの商用証明書の調達、HSMやKMS等による秘密鍵の安全な保護、失効管理(CRL)を含めた運用設計を行います。

STEP 05

本番運用・仕様改定への追従

署名基盤の監視、証明書の定期更新、進化を続けるC2PA仕様の改定へのキャッチアップなど、安定運用を継続します。

具体的な導入手順やワークフロー設計のご相談は 無料相談フォーム からお気軽にお問い合わせください。1 営業日以内にご返信いたします。

06 ─ COMMON MYTHS

C2PA に関するよくある誤解

検討初期に生じやすい疑問や誤解を、あらかじめ論点整理してお答えします。

Q. 改ざんそのものを完全に防止できる?
NO

改ざんの実行自体をブロックするものではありません。しかし、1ビットでも変更が加われば検証時に確実に検知されます。「痕跡を残さずに不正に書き換えること」を暗号技術によって不可能にする仕組みです。

Q. あらゆる画像について、AI生成かどうかを見破れる?
NO

C2PAはピクセルデータを解析してAI生成の痕跡を探す「検知ツール」ではありません。C2PAに対応した生成AIが出力したものであれば署名によって確実に識別できますが、署名が付与されていない画像についてはAI製かどうかを判別できません。

Q. インターネット上のすべてのメディアに義務付けられる?
NO

C2PAは利用を強制する枠組みではなく、完全に任意のオプトイン方式です。「コンテンツの真正性や出所を客観的に証明したい発信者」が自発的に署名を付与し、信頼の輪を広げていく設計となっています。

Q. 導入には巨額の初期投資が必要?
規模次第

いきなり大規模な基盤刷新を行う必要はありません。無償のオープンソースツールを用いた小規模なPoCから着手し、実効性を確認しながら段階的に本番化を進められます。費用は対象となる業務フローの規模や既存システムとの統合範囲に応じて柔軟に調整可能です。

07 ─ FAQ

よくある質問

実際に C2PA を検討する中でよく寄せられる質問をまとめました。

Q. C2PAとは何ですか?

A. C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)は、画像・動画・音声などのデジタルメディアに「作成者・作成日時・編集履歴・電子署名」といった来歴情報を、暗号技術によって改ざん検知可能な形式で埋め込むための国際標準規格です。2021年にAdobe、Microsoft、Intel、BBC、Arm、Truepicによって設立され、生成AI時代におけるコンテンツの真正性を担保する社会インフラとして普及が進んでいます。

Q. C2PAの読み方は?

A. 一般的に「シー・ツー・ピー・エー」と読まれます。C2PAは「Coalition for Content Provenance and Authenticity(コンテンツの来歴および真正性のための連合)」の略称です。「Coalition」と「Content」という2つのCから始まる単語と、P(Provenance)、A(Authenticity)を組み合わせて「C2PA」と表記されます。

Q. C2PAとContent Credentialsは何が違いますか?

A. C2PAは技術仕様を策定する標準化団体(およびその仕様規格)を指し、Content Credentialsはその仕様に基づいてコンテンツへ付与される業界標準の来歴メタデータを指します。なお、Adobeが主導して立ち上げたCAI(Content Authenticity Initiative)は、これらの実装支援や普及活動を担う業界コミュニティです。

Q. C2PAに対応したカメラやサービスはありますか?

A. カメラではLeica M11-P、Sony α1 II、Nikon Z9などの機種がC2PA署名付き撮影に対応しています。生成AIではOpenAI(ChatGPTの画像生成やDALL·E)、Adobe Firefly、Google、Microsoft Designerなどが出力ファイルにC2PA Manifestを付与しています。また、報道分野でもBBC、The New York Times、AFP通信、ロイターなどが実証や導入を進めています。

Q. スクリーンショットを撮ったらC2PA情報は失われますか?

A. メタデータとしての電子署名のみの場合、スクリーンショットの撮影やSNS等での再エンコード(再圧縮)によって来歴情報は切り離されてしまいます。この課題を補うため、画像の見た目を損なわずに情報を埋め込む電子透かし(ウォーターマーク)を併用し、メタデータが欠落しても来歴を復元できる仕組み(Soft Binding)が仕様に組み込まれており、実用化が進められています。

Q. C2PAの実装は無料で使えますか?

A. はい。C2PA公式のオープンソースライブラリやツールは無償で公開されており、商用利用も可能です。ただし、実際の運用環境で信頼された署名を行うには、認証局(CA)から発行される電子証明書の取得や、秘密鍵を安全に管理するための運用基盤・コストが必要となります。

Q. C2PAを導入すると何がビジネスメリットになりますか?

A. 主なメリットは3点あります。第1に、自社コンテンツの真正性を暗号技術で客観的に証明できるため、なりすましや偽情報の拡散からブランドを保護できます。第2に、国内外の法規制や政府調達、大手プラットフォームにおいて来歴証明への対応が要件化されつつあり、今後の取引要件を先回りして満たせます。第3に、生成AIコンテンツとの識別として「人間が制作・撮影した証拠」を示せるため、クリエイティブや報道の真正性価値を高められます。

Q. C2PAはDRMのように配信を制限する技術ですか?

A. いいえ、C2PAはDRM(デジタル著作権管理)とは目的も仕組みも異なります。DRMがコンテンツの不正コピーや閲覧・再生を制限する技術であるのに対し、C2PAは「来歴の記録と検証」を行うための仕組みであり、流通や複製そのものを妨げる機能はありません。改ざんを物理的に防ぐのではなく、「改ざんが行われた事実を確実に検知できるようにする」技術です。

Q. C2PAの導入は何から始めればよいですか?

A. まずは小規模なPoC(概念実証)から着手することをおすすめします。公式の無償ツール(c2patoolなど)を用いて手元の画像にテスト署名を付与し、検証までの挙動を体感することから始めます。その上で、対象とする業務フロー(撮影、編集、配信など)を1つ選定してシステムへの組み込みを検証し、本番向けの証明書調達や鍵管理の設計へと段階的に進めていくのが確実です。

08 ─ NEXT READS

次に読むべき記事

C2PAの技術仕様や具体的な実装手順をさらに深く学びたい方向けに、当社エンジニアによる技術解説記事をご紹介します。

【C2PA 実装入門】 第1回 なぜコンテンツの来歴証明が必要なのか

C2PA 実装入門シリーズ第1回。生成 AI 時代にコンテンツの来歴証明がなぜ必要とされるのか、検知アプローチの限界、C2PA / Content Credentials / CAI の関係を整理します。

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【C2PA 実装入門】 第2回 署名から検証までの全体フロー

C2PA 実装入門シリーズ第2回。コンテンツの署名から配信、検証までの一連のフローを図とともに整理し、各ステップで何が起きているかを掴みます。

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【C2PA 実装入門】 第3回 Manifest の内部構造を理解する

C2PA 実装入門シリーズ第3回。コンテンツに埋め込まれる Manifest を、Assertion・Claim・Claim Signature・JUMBF コンテナの4つのレイヤーに分けて概念レベルで整理します。

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【C2PA 実装入門】 第4回 c2patool で Manifest を覗いてみる

C2PA 実装入門シリーズ第4回。c2pa-rs 付属のテスト画像を c2patool と jq で読み出しながら、Manifest の構造が実データ内にどう現れるかを段階的に確認し、検証パイプライン設計の観点までつなげます。

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【C2PA 実装入門】 第5回 SDK でコンテンツに署名してみる

C2PA 実装入門シリーズ第5回。c2pa-rs(Rust)と c2pa-python(Python)を使い、テスト用証明書の生成から画像への Manifest 付与、Assertion の追加、Ingredient の取り込みまでを実際のコードで体験します。

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NSAら4機関がC2PA共同ガイダンスを公開 2025年1月CSIを読み解く

米国NSAと豪州ASD・カナダCCCS・英国NCSCが2025年1月に共同公開したContent Credentials Cybersecurity Information Sheetの全体像を解説。C2PAが政府機関レベルで取り上げられた意味と、日本の安全保障・企業への示唆を考察します。

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